拍手いただき、ありがとうございます。
ちょっとしたモノですが、御礼SSをご用意しました☆
現在、下記のSSSともう一本SSが置いてあります…


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 外は雨の幕が下りたかのように煙っており、近くに見えるはずの山々も

すっかり霞んでしまっている。

 晴れていたなら、赤や黄に色づいた景色が目を楽しませてくれるはずだった。

雨はここ三日間降り続いている。外にも出れず、鍛錬もろくにできない。

幸村にとっては辛いはずだったのだが…

「アンタとこうしているのも悪くないな」

 そう言うのは、甲斐を訪れていた政宗だ。

彼は信玄への所用と称し、用件を済ませた後は幸村の住まう屋敷に

ちゃっかりと居座っていた。

 同行して来た小十郎は「やはりか…」とため息をついたものの、

この大雨では奥州へは帰れない。

「これだけ雨が降っては、山崩れが起きてしまうでござる」

 甲斐は山に囲まれた国。道が閉ざされては陸の中で孤立してしまう。

「そしたら、俺もしばらくはここにいられる訳か」

「悠長な事を言っている場合ではござらぬ」

「Ha、相変わらず固いヤツだな」

 可笑しそうに笑えば、幸村はむっとしたような表情になる。

「…政宗殿」

「あ?」

「いつになったら、退いて頂けるので…?」

 と言うのも、政宗の頭は幸村の膝の上にある…つまりは膝枕の状態なのだ。

座敷で書を読んでいた政宗にお茶を持ってきた幸村は、

彼の言うままに腰を下ろしたところ、この状態になってしまった。

「某の膝など、枕にはなりませぬ」

 戦と鍛錬で鍛えられているのだから、当然ながら柔らかくも何ともない。

「分かってねえな」

 寝転がっていた政宗が、幸村の頬に向かって手を伸ばす。

「アンタだから良いんだ」

 輪郭をなぞるように手を滑らせれば、幸村は困ったように息をついた。

「物好きでござるな…」

 手持ち無沙汰だった幸村は、政宗の黒髪をそっと梳き始める。

艶やかな黒髪は幸村の指をするりと滑り落ちる。

「…幸村」

「?」

「まだ退かねえからな」

「仕方ないでござるな」

 にっ…と笑う政宗に、幸村も小さく笑みを浮かべた。









 外は雨。空を覆う分厚い雲はまだ切れそうにない。

せめてこの一時だけは、自分の膝で彼を眠らせるのも悪くないかも知れない。













 竜の温もりを感じながら、幸村はそっと目を閉じた。




<あとがき>
→膝枕の話が書きたくなって、一気に書いてみました。
ゆっきーの膝はさぞや固いでしょうが、そこは愛でしょうね(笑)
ダテサナはお互い好きあっていれば良いと思いますvv



ついでに一言あればどうぞ(管理人、踊って喜びます☆)

あと1000文字。