storyteller
拍手どうもありがとうございました。すごくすごくすごく嬉しいです。クリック一つではありますが、それを押すか押さないかってとても大きいですよね。押してもらえたことに、ただただ感謝です。
えっと、一応お礼も何種類かは考えているのですが、なにぶん今忙しく手一杯ですので、今のところは昔書いた愚作で勘弁してやってください。恥ずかしい過去ではありますが、雰囲気を少しでも感じていただけたら幸いです。
それではこの度は拍手、本当にありがとうございました。
争いの末に 著:佐倉ユキ
「ありがとう」
その言葉を最後に彼女は死んだ。悲しいほど美しい微笑を顔に浮かべ、幸せそうにゆっくりと目をつむった。僕はどうすることもできなかった。ただそんな彼女を見つめ、一筋だけ涙を零した。
戦争が起こった。大きな戦争だった。粉塵が空を覆い、太陽が隠れた。大勢の人が死んだ。町はどこもかしこも死の匂いで満ち、いつもどこかでパチパチと、なにかが爆ぜる音がした。悲しみが混沌となり、世界を飲み込んだ。
人間は愚かだ。不毛な過去を幾度も繰り返し、そこからなにも学び取ろうとしない。神も今回ばかりはそんな人間を許さなかった。そして罰を与えた。人間から言葉を奪った。正確には、言葉を話すことを禁じた。そしてその禁を破ったら、命を奪うと宣言した。
神がなぜそんな罰を与えたのか、人々は理解することができなかった。なぜ話し合いの機会を奪い、人々を沈黙の闇へと落としたのか。神の深い心を読むことは不可能だった。ただ人々は死を恐れ、または自ら死を望み、運命を呑み込んだ。なんとも無慈悲な運命だが、仕方がなかった。反乱は許されなかった。
だが、それをきっかけに戦争が終わったのは事実だ。確かに戦争は終わり、平和が訪れた。それは大いに喜ばしいことだった。空が晴れ、太陽が出た。火が消え、静寂が重くその場に腰を据えた。
彼女は遺書に、『次は違う世界であなたと巡り会いたい』と書いていた。『言葉の存在する世界で、なにも恐れることなく、好きな言葉を鳥のように歌い、あなたと愛を紡ぎ合いたい』と。
僕はその遺書を読み終えると、無性にむしゃくしゃして、それをライターで焼いた。パチパチという紙の爆ぜる音が耳に心地よかった。そして思った。なぜ彼女はこれを文字にしなければならなかったのだろうかと。なぜ僕に直接伝えることができなかったのだろうかと。
彼女は死んだ。自殺だった。禁を破り、「ありがとう」という言葉を口にした。僕はその言葉に含まれた意味を全て汲み取ることはできなかったが、それでも充分だった。瞼の裏に残る彼女の微笑が、全てを語っていた。
そして彼女の死から三日後、僕はやっと心を決めた。後頭部に向けられた銃口に、あえて自ら頭を押しつけた。それは無機物らしく非情な冷たさを秘めていた。心臓がぎゅっと凝縮し、喉元まで競り上がった。冷や汗が背中を伝った。
僕は彼女のように微笑もうとした。だが無理だった。作り上げた表情は実にぎこちなく、彼女のそれとは比べるに値しなかった。だから僕はいたって僕らしく苦笑して、目をつむった。そこには彼女がいた。言葉は淀むことなく、すっと僕の唇から漏れ出でた。
「ありがとう」
追伸
拍手のお礼として、これは一体どうなんだろう……。
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