「さてラウさん」
 私はごくり、と喉を鳴らして厳かに口を開く。
 「なんだ」
 対するラウは平素そのもので憎らしい。これから続く言葉にもんどり打って悩めばいいよ、まったく。
 「ここに一つの難題が提示されました」
 「ほう」
 びっと指を立てて告げると、ラウは片眉を上げて応じる。一応こちらの言葉を聞く気はあるらしい。
 いや、いつもだって、つまんないこと言っても耳に入れてくれはするんだけどね。耳半分で聞き流されるっていうか、聞いてんのかどうか怪しいのよ。確認したらちゃんと聞いてるから怒りづらいんだけど、真面目に聞いて欲しいもんだね。
 「ほんとに難題よ?」
 マジですよ? と詰め寄る。
 「聞いてみないと分からないが」
 のんびりとしたもんだ。ああ、分かってない。ラウは全然分かってない。だめだ、これは私が何とかしないと。私は謎の使命感を抱いた。別になくても良い使命感だけに謎。
 「ここに指令があります」
 「何の?」
 「絶対に拒否できない筋からの指令です」
 「……中には何と?」
 お、ちょっと食い付きが良くなった。隠す気もないので、手にした紙を素直にラウに渡した。驚くが良い。
 結果は案の定、私の予想通りだ。二つ折りのメモを開いて視線を落とし──ラウは固まった。
 「本当にこれをしろというのか」
 「そうです」
 「拒否権は」
 「ないです。わたしも出来るなら避けたいです」
 はあああ、と深い溜息をついているラウは、紙面の内容が相違ないか確かめている。確認したくなる気持ちは分かる。でもね、内容そんなに多くないのよ。読み間違いとかしないレベルなのよ。言葉少なく、たったの六行。その六行に私達は悩まされていた。
 「まあ、腹くくってやりますか」
 「気は進まないが仕方ないだろう」
 どうしようもないことへの諦めの早さはラウの長所だよ。頭の切替早いしね。ラウの言うとおり、気が進まない所か後退するくらいだけど、さっさとやってしまうか……。




 この指令に沿って行動すること。

 01.腕を組む
 02.抱きつき
 03.おんぶ
 04.膝枕
 05.お姫様だっこ



 ああもう、まったく気が進まないったらないわ!





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