目を開けると、一面に白い天井が広がって、
隣にあったはずの温もりがないことに気付いて、飛び起きる。
殺風景な自分の部屋を飛び出すと
自宅とは思えない匂い。
「おはよう、どうしたの?そんなに急いで」
もしかして、寝ぼけた?なんていいながら笑う貴女がいて。
テーブルの上には、絵に書いたような朝食が並べられていた。
「これは」
「任務明けだから、きちんと食べれてないんでしょう?
あ、ハヤテって朝からごはん食べれない人だっけ?」
そういって、少し心配そうにエプロンの裾を掴んだ貴女を見て
頭よりも先に、身体が動いていた。
「わ、何」
言いようのない幸せ、というか、安堵感。
きっと、貴女には痛いだろう力を込めて掻き抱いた。
「…嬉しいんですね、ありがとうございます。」
そういうと、ゆっくり自分の背中にも腕が回った。
「それと、ただいま。
待っていてくれて、ありがとうございます」
厳しい任務と、温かい日常の落差に付いていけないワタシを
貴女は、笑いも怒りもせず、ただ受け止めてくれる。
「うん、当たり前でしょう。
ちゃんと帰ってこないと、怒っちゃうわ」
ああ。帰ってきてよかった。
自分の胸に当たってくぐもった台詞は茶化したように明るくて
なんだか救われた気分になった。
「さ、ご飯食べよう」
「ええ、そうですね」
腕の中に収めていた彼女を解放して、改めて食卓に着くと、
さらに胸が温かい気持ちになった。