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†   †


 幸せなんだろうと思う。
 でも、それと同じ、いや、それ以上に困っているとも思う。
 なんと言うか、怒れば良いのか、はたまた泣けばいいのか分からない。

 この感情をなんと呼ぼうか。



 上条当麻は時折、夜中に不意打ちを食らう。
 それは服の裾を引っ張られる感覚だったり、体にずしりと重みを感じたり、
 やけにはっきりとした 「とうまぁ、今日のご飯はなぁに…?」 と言う寝言だったり。
 その日は一番最初に上げた、服を引っ張られる感覚だった。

(……ああああ、また)

 なんのために風呂場で寝ていると思っているんだと、叱り付けたのも一度や二度ではない筈だ。
 瞼を持ち上げなくても分かる程、近くにあるその存在。温もり。そして、規則正しい寝息。
 何処かに行ってしまった眠気に明日の授業が辛くなりそうだと思いつつ、瞼を持ち上げる。

 深い深いため息を吐いた。

(やっぱ浴室諦めて、床で寝てんのがいけねーのかな…)

 自分が悪いのだろうか、と居候のくせにぐーすか惰眠を貪る、
 こちらの男の子の事情など露知らずの寝顔を見つめる。

(いや、でも、オレが家主じゃないですかね!)

 そう、思い直すと、急激に腹が立ってきたので、目の前の鼻をつまんでやった。

「ふみゅ……」

 言葉になっていない声を漏らし、インデックスの眉が少し顰められた。

 そして、その直後。

「とう、ま…」

 瞳はしっかりと閉じられたままの状態で、名前を呼ばれて当麻は反射的に手を離す。

 バクバクと早鐘を打つ心臓はイタズラが見つかったようでバツが悪いと言うよりは、

(なんつーか、ホントに反則だよな…)

 自分の分の毛布をインデックスの肩に引き上げてやってから
 熱の集まる頬を振り切るように、ギュッと目を閉じた。

 インデックスはずるいと思う。
 好意を抱いている相手と一つ屋根の下で、男の子は大変なのだ。
 勿論、幸せな気持ちも沢山あって、でも、それと同じ、いや、それ以上に困っている。

 当麻自身、この理性がいつまで持つのか分からないでいるから。



[ end ]


更新日 : 11/03/01


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