![]() きらきらとさんざめくひかりの粒子とともに姿を現した青い髪の娘は、その場に居合わせた二人のうち、より長身の男を見てLuckyとばかりにパチンと指を鳴らした。
「ちょうどいいところに居てくれたわ。おつかいお願いしていいかしら?」 大きな帽子を被った茶色い髪の青年は、指名されたのが自分ではなかったことに長い前髪に隠れた目をぱちくりとさせた。 他方、一応お伺いの形ではあるが喫緊の事態でもない限り断れば後が煩いことをよぉく知っている黒髪の剣士は沈黙を以って先を促した。 颯爽としたパンツスーツの似合う長い髪の娘はたたたっと走り寄ると手にしていた袋を少し掲げてみせた。 「これ、光と風に出張のお土産。荷物多い上に時間がなかったんで今回は二人の分だけなの。みんなに悪いからそっと渡すつもりだったんだけど、東京タワーの展望台に上がったところで社に呼び戻されちゃって。入場券代が勿体無いからとりあえず届けに来たって訳」 「あの…、それ、僕が届けようか?」 いくら親友の夫とはいえこの国唯一の魔法剣士に使い走りをさせようとしている年上の彼女に茶色い髪の青年がおずおずと申し出た。 「だめよ。アスコットが風んとこに出向く理由、ないじゃない」 「それは、そうだけど…」 「ランティスなら鎧の宝玉に荷物しまえるから人目につかずに運べるし、光に預けとけば風にも渡してくれるでしょ? 光なら王子妃のご友人なんだから、たとえふらっとお邪魔してお茶してても誰も不思議に思わないもの」 「…」 「だいたい、カルディナやプレセアに『何それ?』って訊かれちゃったら、シラ切れないでしょう?」 「う……」 とどめの一撃。アスコットが理詰めで海に勝てるはずもない。 「俺が預かろう。……心遣い、感謝する」 刹那黙考したあとそう付け加えたランティスに今度は海が目を瞬かせた。 「な、なんなの? いきなり何の感謝??」 「土産を貰ったなら、心安い相手にでもヒカルは礼を言うだろう。その代わりに述べたつもりだが…」 「あぁ、そういうこと。堅苦しすぎて何事かと思ったわ。もう少しフランクな喋りかたも覚えてよね。じゃ、お後よろしく」 ひらひらと後ろ手で挨拶を残して、瞬く間に消えていく海の後ろ姿にランティスがぼそりと呟いた。 「…蒼い竜巻…」 「それ、ウミに聞こえてたら知らないよ?」 その時はその時。預かった品を宝玉にしまい込み、ランティスは広間を後にした。 |
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