君の音が、俺の心を温めてくれる。 身体の奥のほうに、まるでろうそくの炎のような、 ほの明るい光を届けてくれるんだ。 君の音は、目に見えないが、確かにそこに存在する。 考えてみると、俺も不思議なことに打ち込んでいるな。 音楽は刹那の芸術だ。 演奏するそばから虚空に消えていく。 録音や録画は、後でふりかえるのに必要だが、 そのときに起きた感情まで取っておくことはできない。 そのような不確かなものなのに、 それなしでは生きていけないほどに打ち込んでいる自分。 だが、後悔したことはない。 君もそうだろうか? 音楽の道を、歩むことに、もうためらいは感じないのだろうか。 君と道が再び交わることができたら、 君に言いたいことがある。 そのときは、君を…。 いや、なんでもない。 君に音楽を続けて欲しいと、 今は心から願うばかりだ。 |
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