(クリパン/21)





指に金属が触れると同時に、手を引っ込めようとする動きを感じてすかさず左手の力を強めた。
捕らえた手はそれ以上の抵抗は流石にしなかったが、まさかバレてないとでも?

「お前ハメられたって思ったろ」
左手の薬指に金色の輪を嵌められたパンサーは、必死で否定するがその態度が大正解だと告げていた。
それを見てクリフォードは不満半分満足半分の“いつもの”気持ちに浸る。
何年経っても奇妙なものだ。
半分なら満ちてはいないだろう。しかし満ちないことに満足している。
届いてないから追いかけることができる。
しかしまあ手錠でもかけられたような顔しやがって。

クリフォードがそれを指摘すると、パンサーはまたぎくりと身を固くして、へらへらと愛想笑いを返してくる。
恋人からの贈り物に対してのあるまじき反応を、パンサー自身が恥じていることを、クリフォードはよく知っている。
そして恥じるパンサーは、普段まるで表には出さない色香が濃厚に凝縮されていることも知っている。
それをマトモな、恋人への真心と天秤にかけるのなら、クリフォードは前者を取ると決めている。


だからこんなちゃちな契約は、本当はどうでも良かった。
パンサーの罪悪感と羞恥心に、また少し触れられればそれで良かった。
「嫌なら外せ」

パンサーはほんの数秒指輪を見つめた。
困り切ったような、けれど観念したような顔。
「…自分で外せないから手錠なんだよ」



沸き上がってくるこそばがゆさに、頬が緩まざるを得ない。
どっちも馬鹿てぇに面倒臭え。これ以上無いくらい似合いじゃねぇか。
「じゃあ、一生つけてろ」







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