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所謂それは、笑いの、
厳かな軍でしかも、その司令室の主は如何なる野郎よりも厳粛な、と噂される彼が大声をあげて笑うのが響いたのは、丁度一般的にランチを食べ終える時間だった。彼の抑えきれない笑いが喉から、口からと漏れるのを伺い、正しく彼の名をつけるならば"爆笑"の原因ともなった子供はその鋭い眼光でギロリと彼を睨みつけた。笑いでペンも持つことも愚か仕事もできなくなった男は己の腹を抑え、大人気ないなと笑いながらもその爆笑の渦は治まることを知らずにぐるぐるとより複雑に渦を巻く。自分の笑い声に爆笑しているのではないか、と子供が疑ったとき彼はやっと笑いから顔を上げて(といいつつも微かに肩が震えているのを子供は見逃さなかった)いつものように微笑んだ。
「どうしたんだ、急に」
「って、何笑ってんだよ、クソが」
今までの笑いの分をと言わんばかりに、子供つまりエドワードは鋼の握りこぶしを作って良く分からない表情を浮かべつつも、確かに激昂。けれど、子供はソファから起きることが出来ないのだ。目の前にいる男の顔に拳をぶち込むことも出来ずに、再び笑い出す男を睨みつけるだけで精一杯とは、なんと虚しい!未だに震え続ける彼の肩を見て、嗚呼これは所謂笑いのツボというものにはまってしまったのだろうな、と納得する頭を振り切って、なんとか男に罵声を浴びせた。
「そんなんで笑うてめえは、趣味悪いんだよ」
「まあ、そう言うなよ」
再び、起き上がれない鋼の錬金術師をみて爆笑し続け、耳元で響く大声の笑い声に多少困惑した子供は、少しくらいならと彼の笑いに乗せ、大声で笑い返してやった。
それが案外とても快いもので一端笑えばその笑いはとどまる術を知らずに、一生続いていくのではないかというくらいに長く、とめどなく!その子供の体は血みどろで、その傷跡も風に晒され赤黒く変色していくのを見つめ、涙を溜めた実にだらしない表情で男二人が、狂ったようにゲラゲラと。
「鋼の、もう少し気をつけ給え。お前の下半身、どこかに飛んでいってしまったぞ」
そう言って男は爆笑。ああ、と呟いた子供の焼け爛れた腰元から、絶え間なくドロドロと泥のように出てくる血液をみて、また、例のように大爆笑、ゲラゲラと。
「気をつけろって、そんな暇あったならとっくにそうしてるよ」
「それもそうだな」
そう言ってまた、二人で笑った。ドクンドクンと心臓が波打つたびに流れ出るその血液を見て、先ほどまでそれをどうやって止めるかと考え、考えて男のうちの一人は、阿呆みたいに仕事用の資料とかを子供の傷口に押し当てて、軍服の上着を傷に巻きつけて、更には己の身体で血液を受け止めていたりもしてみたり、そんな努力もむなしく、寧ろ二人を嘲り笑うかのように血液は流れ出るばかりだった。そんな矢先、馬鹿みたいな笑い声を上げたのはその男だった。笑い事じゃねぇ、と呟く子供もまた同様だった。
厳かな軍で、しかも如何なる野郎よりも厳粛であるはずの司令室の主と、いつも鋭い眼光を絶やすことなく目に湛え続けた子供二人の狂ったような笑い声は何時しか軍中を取り巻くような嗚咽だった。
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2006/12/31のだよ、いろいろありえないね。
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