なんていうか、似たもの同士?なんだよね。
 第三者からみたらさ。





「あーもうアンタ本気でうっさい。ていうかうざい。邪魔なんだけど!」
「お前の方がよっぽどうるせーし。ヒスってんじゃねーよバカ」
「アンタさえ真面目にしてくれたら別に私だって怒らないですむっつーの!」
「あーうるせーっ耳元でどなんな! 鼓膜敗れたらどうすんだよ」
「じゃあ、さっさと掃除してよ! 私は早く帰りたいの!!」


 ホウキを握り締めながら思いっきり叫ぶ友達を尻目に、切原はあからさまにため息を吐く。
 両手を両耳に添えて、「あーうるせー」なんてあさっての方向を見る。それは「お前の話なんて全く聞いてない」――なんともわざとらしいポーズの証。そんな切原の様子を見て、友達は真っ赤な顔して怒っちゃってさ、さっきからずーっとじゃれあってるんですよ、この2人。もうマジで2人の世界作りすぎだって思うよね?


「てかさ、アンタ掃除する気全然ないでしょ?」
「はぁ? お前俺が今何持ってんのかちゃんと見てる? この雑巾見えてねぇ?」
「だってさっきから全然手が動いてない!」
「掃除っつーのは汚れたトコをやるもんなんだよ。別にこの窓汚れてないっしょ。やる必要ねぇの。オッケー?」
「汚れてるじゃん! 何でそんな大雑把なのよ!」
「お前が細かすぎんだよ。マジでうっせー」


 あたしはわざわざこの2人の微笑ましい口喧嘩を止めようなんて今まで1回も思ったことがありません。だってさ、いくら膨れっ面作ったって2人ともめちゃ楽しそうなんだもん。あたしに邪魔する権利なんてものは無いわけなんですよ。うん。だからね、「いやいやあたしこそ早く掃除なんてつまんないもん終わらせてさっさと帰りたい」なんて思ってもないし、それこそ口にもしない。もう好きなだけじゃれ合ってて?って思ってるのね。これ本当。いやいや、ムリなんてしてませんって! …ただね、ひとつだけ2人に頼みがあるとしたら、


「ねぇ、あんたからも何とかいってよこのバカに!!」
「つーかこの煩いのどっか持ってけよ」


 あ た し を 巻 き 込 む な ってことですかね、やっぱり……

「いやー…、あたしからは何とも言えんわぁ」

 素直にそう口にすると、2人から非難の眼差しが向けられる。なんていうか、ほんっと君たち仲良いよね。こんなこと口が裂けても言えないけど(だって怒鳴られるに決まってる)、似たもの同士なんだからなぁ。そうやって軽い口喧嘩交わすのが楽しくて楽しくて仕方ないんでしょ。うんうん、わかってるわかってる。

「大体さー、切原掃除する気ないくせになんで毎回くんの? 来なくていいよ。邪魔だから」

 あー、野暮なこと聞くなぁ原因のくせに。そんなの決まってるじゃん。
 君と一緒にいたいからに決まってるでしょ。好きな子と同じ班☆なんてオイシイシチュエーション切原が逃すわけないじゃん。もー気づいてやれって。

「つか、お前怒鳴ってばっかじゃん。お前がくんな。うぜー」


 ああ! 切原も素直じゃない!!
 どうしてわざわざ怒らせるようなことをいうのかなあ。

「なによもぅ!このもじゃもじゃ頭!」
「んだよ貧乳!」
「・・・さいていあんたどこ見てるのよ!」
「誰がお前みたいな色気のないやつみるんですかねー?」
「むかつく! ほんと嫌い!」
「気が合うじゃん。俺もうざい女嫌いだし!」





・・・・・エンドレス。

ほんっといいコンビだよ。
さっさと付き合っちゃえばいいのにね?







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