☆嘘つきのルール☆


糸がたりシリーズ暗部人形カカ子イル






「桜きれいだねえ」
火影の専用住宅の広い庭で、小さなイルカは暗部姿のカカシと赤い布の張られた腰掛けにちょこんと並んで座り桜を見上げて呟いた。
傍らには桜餅の皿とお茶が置かれ、二人だけのお花見を楽しんでいる。
現火影の暗部時代の姿を模した人形カカシの鈎爪のついた大きな手をイルカはキュッと握った。
「カカシ、今日は言ったことみーんな嘘になっちゃう日なんだって」
自分を生み出した親であるアシカに、悪戯っぽくそう教えられたのだ。
「困っちゃうね。今日はカカシ大好きって言っちゃいけないんだね」
不満そうに口を尖らせた小さなイルカにカカシは無機質で感情の見えない青い瞳を見開いた。
「言っちゃいけなく、ない」
「でも…」
言い返そうとしたイルカの顔を丹精に整い過ぎた可憐な顔がのぞき込んできて、イルカは頬を桜色に染めて言葉につまった。
「俺は人形だから、人間のルールにあてはまらない。だから大丈夫」
抑揚のない声でそう言ったカカシの口元がふっと緩んだ。
「俺は嘘なんて言えない。イルカが大好きで、イルカが誰より大切だって、本当の事しか言えない」
「カカシ!」
イルカはカカシに抱きついた。
カカシはふわりと、桜の枝のようにしなやかで長い腕で花びらのようにイルカを包み込んだ。
「大好き!世界一大好き!カカシ!!」
「うん」
抑揚のない声で返事をしたカカシのその表情は、ため息が出る程美しい微笑を浮かべていた。


おわり

拍手2発目に大人カカイル「嘘つき」がいます






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