(黒バス・高尾)


君を愛していると伝えられたなら、どんなにこの胸は楽になれるのだろうか。

「なぁ、良い加減正直にならねぇ? 」

「…いや、だよ」

高尾くんは私の手を掴んでいて、視線を逸らせてはくれない。私の視界には一面に彼がいる。

「あんたが俺を見てることはわかってんだぜ」

鷹の目を持っているからは全てお見通しということなのだろう。そうだ、私は、この人が好きだ。
けれど、それを伝える気なんて、これっぽっちだってないのだ。

それは、私に何も秀でたものがないから。自分が嫌いだから。優しくしてくれるあなたが好きで、けれど申し訳なくて。でも、あきらめきれなくて。


「なぁ、頼むから、言ってくれよ…」

「…ごめん、言えない」


あなたに思いを伝えられるほど、そしてそれがむくわれても良いほど、私は素晴らしい人間ではないのだ。

見ているだけで、構わないのだ。

「…ぜってぇ、その言葉撤回させてやる」



その目に囚われる日は近い



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