[お題拝借先]→【mind*】 http://colors0216.web.fc2.com/ 「あれ・・・・?」 濡れた髪をタオルで拭きながら風呂場から出て、ルナは訝しげな声を上げた。ベッドにまでたどりつけなかったのだろうか、カインがダイニングのソファに眠っていた。寝息もあまり立てない彼は、まるで死人の様に静かに眠っている。ってああ、生きてはいなかったな、と思い直して苦笑する。起こさないようにソファに近づき、彼の傍にしゃがみ込む。カインの顔がいつもより近くて、少しだけドキドキした。 そっと、覗き込む。長いまつ毛が大きな瞳を縁取っていて、目を閉じた今は影を落としている。 青白い頬は空調の利いた室内にも関わらず温かみを知らないくらいに白んでいた。 綺麗な顔。 そっと呟いてふっ、と笑みが零れる。そっと手を伸ばし、瞳にかかる髪の毛をどかそうとそっと動かした。ウェーブした髪は柔らかく指に絡み付き、解けていく。 「めずらし・・・・」 いつもあまり眠らない様に見えたけど、やはり日中の行動は少なからず体力を消費してしまうのだろう。それでも付き合ってくれるのだから、ありがたいけれど。 「疲れて・・・たんだね。・・・ごめんね、いつも」 瞬間、ぐぃ、と腕を力強く引っ張られて彼の胸に倒れ込んでしまった。思わずきゃ、と声をあげて視線を上げるとカインが下から意地の悪い笑みを浮かべていた。 「お、起きてたの?!」 「ずっと」 カインの胸の中で抗議の声を上げるも、カインはニヤニヤとこちらを見て頬を撫でてくる。彼の温い体温が上下して頬の皮膚からじくり、と伝わって、心をゆるゆるとほどいていった。ははは、と楽しそうに笑う彼の声が響く。 「はは、ルナにじろじろ見られる機会なんかあんまりないからな。貴重な経験をした。」 「もう!」 「ルナ」 背中に手が回ってそのまま彼に押し付けられて、どきん、と心臓が跳ね上がった。その手がするりと髪の毛に行き、ゆるやかにウェーブした髪の毛を絡ませる。ふ、と上の方で息を吐く音がした。 「・・・・いい香りだ」 視線だけ彼に映すと、髪を指先に絡めたままのカインが婀娜めいた笑みを向けた。 「・・・・・・むしゃぶりつきたくなる」 「馬鹿!!」 恥ずかしい。顔を赤くして再び俯いていると、カインはそのままぎゅ、と自分を優しく抱きしめてきた。 「なに・・・?!」 びっくりして声を荒げるが、カインは相変わらず楽しそうに、どこか意地の悪そうな声で言った。 「・・・・やっぱり、抱き枕がいいかな、と」 「ちょ・・・!」 「やはりルナがいるとよく眠れるな・・・・」 意地の悪い笑みを含んだ声がして、更に強く抱きしめる力が強くなる。カイン!と叫ぶと、次の瞬間には静かな眠りの気配が伝わってきていた。 「寝て・・・るの」 彼の意識を見ても静かなまま状態なのを読みとって、寝ているのだと分かった。 「もう・・・・」 どうしよう、と思いながらも、自分の眠気ももう耐え切れなくて、ルナの意識はゆっくりとまどろんで言った。 (腕枕に膝枕に抱き枕。夢へと誘う僕のためのオーダーメイド |
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