[3・雨の車中] *微エロ?
ぴしゃぴしゃぴしゃ。 車の窓ガラスに当たってはじけるピュアな音を、ルナは半分程の意識で耳元で聞いていた。 「んん・・・っ・・」 廃墟となったビルの物陰、真っ暗な夜は歩いていれば間違いなくびしょ濡れの大降りの雨。 少し止まれ、と言って車を止めた、カインの表情はその艶を余す所なく出している。 そのまま圧し掛かられるかのような体勢のまま、今に至るわけで。 「ふっ・・・ぅ・・・・・あ・・」 いつものより深いキス。 口腔内に侵入してきた舌が、逃げ惑う自分を絡め取って愛撫すると、背中がゾクッとした。 ―感じ、た。 不意にそう思って、恥ずかしくて頬が染まる。 その様子をさも愉快だと言わんばかりに細められた目の前の赤い瞳が、赤い月の様だった。 水音と水音が交じり合って、混ざり合って溶けていく。 やがて荒い息と共に離された唇は相変わらず楽しそうで腹が立つ。 「『源氏物語』で、男達はこんな五月雨の夜に女の評判をし合って、ゲンジは一番心引かれた女の処へ行ったという」 「そ・・・」 それが何だと言うのか。突然の話について行けず、ただため息を零した。 カインがニヤリと、静かに微笑む。 「それ程に雨は女の事ばかり考えてしまうんだろうな」 だからな。 キシリ。 金属が2人分の重さに耐え切れず、悲鳴を上げる。 「今日はお前を、離せそうに、ない」 「・・・・っっ!・・・~っ離してくれなきゃ帰れない」 「帰って、からな?」 運転席を空け、こちらに席を譲ったその瞳は、悪戯っこのように輝いている。 ー帰ってからが、大変かも。 ルナは火照る頬を抑えそっと溜め息をついた。 [今夜はお前と雨音を聞きながら眠ろうか、それとも・・・] [お前の恥ずかしがる顔を、一晩中眺めていようか] 反省→見えそで見えないエロを書きたかったが無駄に終わりました。 |
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