−"好き"の練習−
「俺はもっとルートに"好き"って言われたい」
ソファーで読書に耽る彼に向かって俺は高らかにそう宣言した。
だいたい何で俺と一緒なのに読書なの。
「…いきなり、何だそれ」
「だからルートに"好き"って言われたいの。いっぱい」
意味が分からない、と言う風なぽかんとした表情を彼はする。
恋に関してはいつもこうだ。
小説やマニュアル本でしか恋を知らない結果。
とにかく俺は今、彼の口から"好き"の2文字を引き出したい。
「ルート今から俺の言うこと復唱してね!」
「え、ちょっ…待て、話が見えな…‥」
こういうときは強行突破。
「パスタが好き!」
「パ、パスタが好き」
「ワインも好きー」
「ワインも好き」
「ジャガイモが好きっ」
「ジャガイモが好き」
「ヴルストが好き」
「ヴルストが好き」
「フェリシアーノが好きっ」
「フェリシアーノが…好き…‥」
「フェリとのえっちはも〜っと好き」
「フェリとのえっちはもぉっ…と、え?えぇっ!?」
あ、惜しい。もうちょっとだったのに。
なかなかいい感じで繰り返してこれたのに彼は肝心なところで詰まった。
「お、お前は何を言わせるんだっ!馬鹿者っ!」
彼は顔を真っ赤にしてそう言う。
俺のことが好きってところまではちゃんと言ってくれたくせに。
「俺ウソ言ってないよ。ルートは俺とするのが好きだし、気持ちいいことも大好き」
「なっ…‥!」
「本当でしょ?何なら試してみよっか」
「フェ、ん、んンッ…!」
俺は恥ずかしくて何も言えない彼をそのままそっとソファーに押し込んだ。
邪魔な本は床に払い除ける。
「俺のこといっぱい"好き"って言ってくれていいからね」
そう言って俺は素直で可愛い彼を引き出すけれど。
どうやら素面で言わせるにはまだもう少し練習が必要らしい。
2009 @ろんじん
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