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お題はロメアさまよりお借りしました



 その口から紡がれる言葉は
 どこまでも辛辣な癖に
 どこまでも甘かった


□魔法使いの血統□


 今日はそりゃあもう、何かそれだけで気分が良くなるってくらいに天気がよかった。段々寒くなってきている今の時期、目一杯に降り注いでくれる太陽の光は非常にありがたかったが、この、もういっそ帰り道に最寄駅のホームから落ちてぱあんしてきたいくらいに落ち込んでいる俺の心まであったかくしてはくれなかった。むしろ、何かこう、逆にイライラしてくる。
 ともあれ今日は家に帰りたくなかった。何せ家にはあいつがいる。この一ヶ月で俺がどれだけ成長したかを見るために――テストするために。ひどく憂鬱だった。
 席から恨めしく空を見上げて今日をどうやって乗り切るかを悶々と考えていると(俺の席は幸運なことに窓際最後列だ)、今日最後の講義の声がチャイムによって遮られた。教室の外で待機していたらしい担任が入ってくる。必要最低限の連絡しか行わないため、この担任のホームルームはとても短いことで有名だった。今日もまた、明日の時間割に変更がないこと、最近遅刻が多いことだけを言ってホームルームが終わる。
(家に帰りたくない……)
 ひどく気が重かった。高校から家までは自転車で十五分ほどで、どれだけ遅くペダルをこいだとしても大して変わりそうにない。第一、そういうことをすればすぐにバレる。そうなるとだめだ、スパルタな課題をそれこそ山のように出されちまう。地獄だ。
 覚悟を決めるぞ、と教科書をつめこんだ鞄を持って立ち上がったところで、ぽむ、と肩に手を置かれた。振り返る。
「ちさと、お前今日暇? ゲーセン行かね?」
「や、今日はちょっと用事があるんだ。ごめんな」
「そっかー」
 ぱちんと手を合わせて俺が言うと、そいつ――秋也はしゅんと肩を落とした。何だかすごく申し訳ない気分になる。お、俺だって……俺だって本当は行きたいのに……!
 未練たらたらで仕方なかったけど、行きたくて逃げたくて仕方なかったけど、いくら何でもこの歳で死にたくはなかったので、「また誘ってくれよ。そん時は絶対行くから」って言って鞄を背負う。とりあえず、まず俺は全力で帰らないといけなかった。
 全く、何だって俺が、こんな。
 ため息をひとつ、小さく零す。



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