――あなたは、ひとりなんかじゃないよ。



   *



「……ッ」

 目覚めると、かたわらではすうすうと凛が寝息を立てていた。

「? ……あァ、そうか……」

 ここは王宮ではなく、遠坂の邸。

 ソファでうたたねしている凛を見ていたら自分も眠くなって、添い寝していたのだったか。

 頬にかかる黒髪を払って、その寝顔をしげしげと眺める。

「凛」

 その響きのなんと心地良いこと。

 その名の通り、凛として咲く華のような娘。

「……ぎる……」

 もぞもぞとみじろぎした凛が、ギルガメッシュの肩に顔を押し付ける。

「凛?」

 起きたのだろうか。

 凛の顔をのぞきもうとした刹那。

「ぎるの、ばーか……きんぴか……」

「……おい、凛」

 べりっと凛を引き剥がすと、幼い魔術師はまだ夢の中であった。

「夢の中でまで我を罵るとは良い度胸だ」

「……む、ぅ……」

 再びギルガメッシュにひっつく凛。

 ――だがまあ。

「我を夢にまで見るようになるとは、将来中々有望ではないか?」

 凛の体を抱え直し、ギルガメッシュは再び瞼を閉ざす。





Träume sind Schäume.



(夢は泡である)





 ――だって、あなたは私の、





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