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 (アルカナ・ファミリア/ルカフェリ)

















「……もう、ルカなんて知らないっ!」

「えぇ……そんな、お嬢様っ」

「知らないってば」

「お嬢様ぁ!」

 賑やかな会話は、バールの喧騒にも負けていない。

「ねぇデビト、どうしたんだろうね?」

 テーブルの対面に着いて言い合う二人をちらりと見ながら、もぐもぐと食事は続けたまま、パーチェが隣のデビトにこそりと問いた。

「さぁ?」

 それにデビトは短く返す。

 いつものように夕食を取りに、いつものバールに集まった時にはこの状態だった。

 フェリチータは取り付く島もなくて、ルカは必死に島に辿り着こうとしていて。それでも、仲良く揃ってバールに来ているのだから、そこまでの深刻な状況ではないのだろうけれど。

「……夫婦喧嘩は犬も食わねぇぜ?」

 からかうようにデビトが言えば、フェリチータは不満げな眼差しを返してくる。ルカはルカで、慌てたように手を大きく振って否定して見せた。

「そんなんじゃありませんよ、デビト」

「そうだよ。ルカなんて知らないんだから」

「お嬢様ぁ……」

 うろたえて、肩を落としたルカに、フェリチータの態度は変わらぬまま。今回は、ルカは余程フェリチータの機嫌を損ねてしまったらしい。

「何があったか知らないけどさぁ? 仲良しが一番だよ?」

 眉を下げてパーチェが言うと、フェリチータはゆっくりと口を開いた。

(おーおー……)

 聞きながら、デビトは眉を下げた。

 語られるのは、かくかくしかじか、などと短い言葉では言い表せないようなあれこれ。

 けれど、デビトが聞けば、惚気にしか聞こえないもの。

 ちらりと横目でパーチェを窺えば、パーチェもデビトと同じような顔をしている。違うところは、大きく口を開いているところだろうか。

(夫婦喧嘩は、パーチェも食わねぇなぁ………)

 その間も、口唇を尖らせたフェリチータの訴えは続いていたのだった。
2012/10/08 ラブコレ2012秋・ペーパーより







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