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+ビアンキとシャマル+
(シャマ獄前提)


それは、母の表情が変わった日。

いつも幸せだと言い、いつも胸を張って表へ出ていた彼女。
思えばそれはただの強がりだったのだろう。
毎夜大きくなる不安に耐えるための虚勢だったのだろう。
しかし、嘘は嘘でしかいられない。
真実を知ったその日、彼女は泣き崩れた。
娘である、私の目の前で。

私はけして、それを忘れはしないだろう。

母の涙。
父の裏切り。
冷たい視線。

それが生みだした貴方は、ああなんて綺麗なんでしょう。




「不思議なくらい、私はハヤトを可愛いと思うのよ」

赤いカクテルを口にしたビアンキは今までを思い出しての結論を述べた。
もう20を過ぎて大人の女性となった彼女は、今までのように盲目的ではない。
恋人に対しても、弟に対しても。

「普通なら私の母を悲しませて家を滅茶苦茶にした女の子供なんて可愛い訳ないのにね」

幼心にわかっていた悲しい真実。
母のお腹が大きくならずに産まれてきた弟。
けして彼女や彼女の母親にはない色を持った彼は、無邪気に笑った。
それがはじまり。

「それからはずーっとハヤトを大切に大切にしてきたわ」

それは行き過ぎたものだったかもしれないけれども、そこにあった感情は怖くなるほどに純粋に。
ただ、彼だけを想って、この長い間。

「だからね、今、とても怒っているのよ」

わかるでしょう?
静かに微笑んだビアンキの瞳から向いの彼は視線を逸らした。

「貴方は私の可愛いハヤトを幸せに出来るというの?」
「幸せってのは自分で掴むものなんだぜ、ビアンキちゃん」

白いスーツに不精髭。
最愛の弟が憧れた師。
向かいの彼は手元のワインを一気に飲み干して、ひとつ息をした。

「ハヤトは自分で俺を選んだ、それがアイツの選んだ幸せだ」
「気に食わないわ」

なんで貴方なのよ。
ビアンキにとって彼は最低だった。
まだボンゴレ10代目や同学年の野球少年、年齢不詳の風紀委員長の方がよかった。
それならば、遠慮なく怒ることも否定する事も出来たから。
しかし、彼だけは無理だった。

女にだらしのない彼なのに。
酒癖の悪い彼なのに。
それでも、弟が彼を一番として求めている事を良く知っていたから。
それは、それは、痛いくらいに。

「本当に、気に食わない…」

悔しさから唇を噛んだビアンキに、彼ーシャマルは誓う。

「安心しろって、ちゃーんと責任取ってやるから」

昔から知っているシャマルの瞳が涙を誘った。
ビアンキの瞳から零れたそれは、カクテルの赤に沈んで溶けた。


2009.06.20 真珠製センチメンタル



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