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拍手ありがとうございました。とっても励みになります。 そんなわけで、お礼の小話をよろしければどうぞ。ちなみに今回も『TWINS』ネタでございます。 「おにーさん、俺達、変かも!」 朝食の支度を終えて、席に着いた小次郎の前に翼と岬がそろって詰め寄った。 「変って何だよ、変って?」 翼の大騒ぎには結構慣れてきたが、それに岬も着いてきたとなると、ちょっと事情が 違う。大体、翼に関してだけ言えば、40度以上の熱を出していても、平気だの大丈夫だ の言っているのに、その翼が言う『変』って一体何なんだ? 「俺達、何もしてないんだけど、腕が変なんだよ。」 そう言いながら翼は二の腕の辺りを揉むように擦った。 「腕?岬もか?」 「…うん。」 小次郎に問われて、岬も腕に手を添えて頷いた。 この間の定期検診では何の異常もなかった。その後についた任務だって、大きな怪 我をする事もなかったし、任務完了から1週間以上経っているから、今更、痛みが出ると いうことは考えにくい。 「いつから?」 翼の腕に手を添え、親指で何カ所かを押さえていきながら小次郎は尋ねる。 「今朝、起きたらいきなり…。」 『TWINS』に何かあれば、即、それは自分たちの責任だし、仕事を抜きに考えても、 二人が苦しむ姿を見るのは、結構きつい。 小次郎が二の腕の内側を押さえると、翼の顔が痛みに歪んだ。 「…っ!」 「岬も手、出してみろ。」 翼と同じような位置を親指で少し強めに押さえると、岬からの激しい口撃(笑)。 「痛いってば!何考えてるのさ、小次郎!」 もはや、逆ギレ状態である。もっとも、岬の場合は、自分の痛みに加えて、『こんなに 痛いことを翼くんにするってどういうこと?』的な怒りも多分に含まれている。 「他の場所は?」 「大丈夫、腕だけなんだ。」 朝起きたら、突然痛みが出る。それも身体のごく限られた部位だけ。そんな症例見た ことあっただろうかと小次郎は自分の記憶をたどってみる。 「うーん、わかんねえな…。仕方ねえ、朝飯食ったら、反町の所に行ってくるか。」 腕を組んで、どっかりと椅子に座り込んでしまった小次郎に、コーヒーと紅茶をトレイに 乗せてやってきた若島津が何事かと声を掛けた。 「どうしたんです、日向さん?」 「…若島津。朝、突然腕に痛みが出るなんて症例、見たことあるか?」 若島津は、トレイをテーブルに置くと、順番にカップを置いていく。 「いや、知りませんけど、何です?」 「こいつらが、その状態なんだと。この後、反町の所に行ってこようかと思うんだが…。」 心配そうな顔をして並び立つ『TWINS』を若島津はじっと見つめる。そして、ふーっと 長いため息をついた。 「…心配ありません。」 「何だよ?原因分かるのか。」 小次郎は、純粋に医学的な興味が勝って、若島津に問いかける。そんな小次郎には 答えずに、若島津は、翼と岬に声を掛けた。 「翼、岬。昨日のおやつ、何食べた?」 「えー、シフォンケーキだけど…。」 何で今そんな事を聞くんだろうと二人は首を傾げる。小次郎もまだ若島津の本意が分 からず、黙って話を聞いている。 「そう、大変だったよな。電動の攪拌機使えばいいのに、お前ら、自分でメレンゲ作った よな。」 「うん。もー、腕が疲れちゃって、大変だった。で?それがどうしたの?」 その、翼の言葉を聞いて小次郎はぴんと来た。そして、ふつふつと言いようのない怒り がわき上がる。 「ふざけんな、お前ら!そりゃ、筋肉痛だ!」 いきなり上がった小次郎の大きな声に、二人はびっくりだ。 「何、大声出して!筋肉痛って何のこと~?」 「だって痛いのは確かなんだよ?」 まだ、抵抗を続ける翼と岬にとどめの一言。 「日頃使ってない筋肉使うと、炎症起こして筋膜を刺激するんだよ!そんなもん、ほっと きゃ治る!…心配して損したぜ。」 小次郎は、自分の前に置かれた珈琲入りのカップを乱暴に掴むと、中の液体を一気に 飲み干した。ちょっと熱かったが、それくらいではこの逃がし処のない怒りは納まらない 。つい本気で心配してしまった自分もなんだか気恥ずかしかった。 「まあまあ、大事には至らなかったって事で。」 若島津が小次郎を宥める。そして、翼と岬へのフォローも忘れない。流石、若島津であ る。 「二人とも、そういうわけでその痛みは2,3日で抜けるから。さ、朝飯にしよう。」 「うん。」 「分かった。ごめんね、おにーさん。心配かけて…。」 翼が椅子に腰掛けながら正面の小次郎に声を掛ける。 「心配なんかしてね-よ!」 「…さっき、言ってた。」 「うるせーな。言葉のあやだ、言葉の!」 「…まーた、照れちゃって、日向さんったら(笑)。」 「ふざけんな、若島津!お前、どっちの味方だ?!」 「別に、どっちにも味方してませんけど?」 「なんだと!」 気がつけば、すっかり小次郎と若島津、二人の漫才のような言い合いになっている。 そんな二人のやりとりを見ながら、元凶の『TWINS』はちょっぴり冷めた紅茶のカップに 口を寄せて顔を見合わせるとクスリと笑った。 END (up 2011.11.30) |
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