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「レキさん!お城に来てください!!」
それは、その一言で始まった。
「みんなー!レキさん連れてきたよー」
陽気に笑う笑顔がとても眩しい。
同盟軍軍主に半ば脅され、やって来たのは同盟軍の本拠地のある一部屋。
そこには解放戦争で共に戦った戦友の姿も幾つか見られた。
「なんだレキ、お前も来たのか」
そう言ったのは青い人…もとい、かつての戦友フリックである。片手に酒の入ったコップを持ちながら、相変わらずビクトールと同じテーブルで飲んでいる。ビクトールなんて、もう良い感じに酔っている感じだ。
「ルイ、話が違う」
「え?違いませんよー」
アハハハハとニコニコと笑うこの少年。どうみても上に立つものとは思えないのだが、これでも同盟軍の軍主である。この笑顔で一体何人が犠牲となってきたのだろうか。まさか、自分まで犠牲になるとは思ってもみなかった。
「兵士に訓練をつけてほしい、そう頼まれたから僕は来たんだけど」
しかし連れてこられた先で見たものは、訓練とは程遠い世界である。
先ほども出てきたフリックやビクトールをはじめ、何人かはお酒を飲んで良い感じになっているし、女の子達はなにやらワイワイと集まって何かを喋っている。あ、シーナが混ざろうとして蹴られた。
それはさておき、目の前に広がる様子は、どうみても訓練をするようなものではなかった。
「訓練ですよ?」
変わらぬ笑顔で。
「どーこーがー?」
「言ってませんでしたっけ?みんなでお酒を飲む訓練です!」
そう言って取り出したのは、ルイ愛用のトンファーではなく、酒のビン。
よく見ると、あちらこちらに酒のビンが転がっている。女の子達のコップに注がれているのも、オレンジジュースのように見えて、実はカクテルのようだ。
戦争中ではなかったのか。そう突っ込みたくなるぐらい、平和な場所だった。
「はぁ…」
なんか、一気に体力を奪われた感じだ。
ただでさえ、グレッグミンスターからは瞬きの鏡が使えないという仕様上の問題から、一度山を下り、バナーまで出てからでなければ、ここまでは来られない。要するに、彼は今、山を下ってきたばかりということになる。
同じ状況、むしろ山を往復しているはずのルイはピンピンとしていた。
これも年と言うものなのか、と不老の少年はふと考えてしまった。
「一応聞くけど、君、未成年だよね?」
「それを言うなら、レキさんだって未成年ですよね!」
ああ言えばこう言う。
この少年の笑顔に勝るものなど、自分には思い浮かばなかった。
こうなればもうヤケクソである。
「…しょうがない」
「?」
「僕との飲み比べに、同盟軍の誰かが勝ったら、戦争終わるまでここにいるよ」
それは、同盟軍軍主の笑顔とはまた別の笑顔で。
「お、おい…レキの後ろに黒い影が見えるぞ…!」
「勝てる気がしねえ…」
解放軍時代を知っている腐れ縁が、早々に席を離れる。比較的お酒に強いはずの二人が逃げたことにより、恐れをなした兵士達が何人かそそくさと出て行く。
「お酒の訓練でいいんだよね?」
「は、はい…」
結局、解放軍リーダーに勝てる人はいなかったという。
唯一リィナだけがニコニコと笑いながら、レキにお酒を注いでいたというが、その姿を見た者はいなかった。
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