~鏡開き~『東武本線』

「ただいま~」
「お帰り、大師」
「いささき!ただいま~♪おなかすいた~」
「あははっ!今日も頑張ったもんね!お客さん、多かった?」
「うん!いつもよりもいっぱいいっぱいいたよ!
 みんな参拝に来たんだよね?」
「そうだね~。大師はこの時期が一番稼ぎ時なんだから頑張るんだよ?」
「うん!大師がんばる!そしたらとーじょーまでいけるようになるんだもんね?」
「え?」
「いささき?」
「あ・・・、うん!そうそう!いけるよ!!だから頑張るんだぞ?」
「は~い!」
「よし、いい子だね。いい子にはおやつがあるよ」
「ほんと!?」
「本当。いい匂いするだろ?」
「うん!甘い匂いするよ!」
「今日は鏡開きだからね~」
「かがみ・・?あ、にっこーだ!」
「・・・ただいま」
「お帰り、日光!」
「おう・・・、つーかお前ら玄関でなにやってんだよ?」
「え?ただのお帰りのハグだよ?」
「はぐ~!!!」
「・・・・んな場所でやんなよっ!つーか!くっつきすぎだ!!」
「え?」
「にっこー、やきもち~?」
「ばっ!!なんで俺が・・・・」
「前にかめーどが言ってたの!にっこーが大師を苛めるのはやきもちだって!」
「・・・・あのクソガキ・・・」
「日光もまだまだ子供だな~」
「・・・おい、伊勢崎?なんで俺が子供なんだよ?」
「え?だって大師みたいに甘えたい、ってことだろ?
 さすがに日光は大人だから膝枕はしてあげられないけど、
 頭をヨシヨシ、くらいはしてあげられるよ?」
「・・・別にんなこと望んでねーよ・・・、俺はもっと・・・」
「もっと?」
「・・・はぁ・・・なんでもねー・・・。
 つかーかこの甘い匂いはなんだよ?」
「かがみびらきだって~」
「鏡開き・・・?ああ、そういや今日か・・・」
「そう!だから今日のおやつはお汁粉つくったんだよ!」
「・・・お前が、だよな?」
「俺以外に誰がいるのさ?」
「・・・だよな」
「いささき!大師、おなかすいた~」
「ああ、ごめん!皆ももう直ぐ来るだろうし、先に食べてようか?」
「うん!」
「味は大丈夫なのかよ?」
「失敬な!今回は溶かすだけだから大丈夫だよっ」
「・・・は?溶かす???何を??」
「へへっ!はい、大師」
「わーい!おいしそ~」
「はい、日光」
「・・・ああ、サンキュ・・・、って、おい!」
「え?」
「え?じゃねーよ!んだよ、これ!」
「・・・・何って・・・お汁粉もどき?」
「・・・もどきって・・・、お前・・・」
「べつにいーじゃん!美味しければ・・・、アンコ買うの忘れちゃってさ~」
「だからってお前・・・・」
「大師、美味しい?」
「・・・はふっ!はふふっ!!」
「そっか~。良かったね~」
「はふっ」
「いや・・・、確かにお前の料理の腕前からしたらまともだけどよ・・・、
 でもチョコレートを溶かしてゼンザイ風ってのはねーだろ!?」
「いささき~」
「ん?なに?」
「この硬いの、なぁに?」
「(そういや餅の他に変な物体があるな)」
「ああ、それはコーヒー豆だから食べちゃダメだよ」
「コーヒー豆なの???」
「はぁ!?」
「そう、コーヒー豆。
 チョコで色はゼンザイ風になったんだけど、
 ブツブツがなくて見かけがゼンザイにならなかったんだ。」
「・・・だからコーヒー豆で代用したってか?」
「そ!いいアイディアでしょ?」
「・・・良すぎで涙も出ねーよ・・・」
「だろ~?」
「いささき、すっごーい!」
「(褒めてねーけどな・・・)ま、味はまともだからいいけどよ・・・」




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