『真秀鏡』



「ずっと側にいるよ」


優しく囁いたあなたは、鏡の中。

けして触れ合えぬ世界の住人。



わたしだけが知ってるの。

彼のこと。

わたしの望む真実だけを囁いてくれる

美しい鏡の住人。



わかっているわ。

わたしはあなたと会う度に

ひとかけらずつ魂を削りとられてる。



それでも、会わずにはいられない。

あなたの声を聞かずにはいられない。

あなたの微笑を見ずにはいられない。



この魂の最後のひとかけらもあなたに渡したら、

鏡を越えて

あなたの胸に飛び込めるかしら?



それとも

そのときだけは、あなたは鏡を割れと囁くのかしら?







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