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サクラ+ナルカカです。




























見覚えのある後ろ姿。声をかけようと歩み寄る。



背後からセンセ、と声をかけると、口元を軽く握った手で覆いながら、ああ、サクラ、という。言い言い、げほ、と咳込む。


「なあに先生、風邪?」
「いや…喉が」
「乾燥してるから?」


うん、そう。
そう言った彼の声は確かにいつもよりも掠れていた。


「なんかそうして咳込んでると、おじいさんみたいよ。銀髪だし、姿勢も悪いし」
「そう、おじいさんなの。もう老体だからね。老後はよろしくね」


やだ先生、まだまだ現役でしょ、と笑いながら肩を叩く。

先生はハハハと笑ったが、その後「痛いよサクラ」と言った。失礼ね!そんなに強く叩いてないわよ。



「あー…しかし…どうにかならないのかねぇ」
「ううん…こればかりはねぇ」

乾燥を和らげるもの。まさか待機所に洗濯物を干すわけにもいかないし…


「あ」と、カカシ先生がなにか思いついたように顔を上げ、人差し指を立てて言った。


「ストーブの上でお湯沸かすとか」
「ああ、成る程。でもなんかそれ、ナルトみたいね」
「…ナルト?なんで?」

そのままの姿勢で硬直して、不思議そうに首を傾げるカカシ先生。
ほら、ラーメン作るためにお湯沸かすじゃない、と言ってやる。

「…。あー」
「もう先生、最近ナルトとばかり一緒にいるからよ」


そう言ってやると、先生は無言で私の目を見てきた。驚いたように大きく目を開いて。
なにかおかしなこと言ったかしら。


「…」
「……」
「…別に、そんなに一緒にいるわけじゃ、ないけど」
「…ふーん」


なんだか微妙に論点がずれた気がするけど。
まるで子どもみたいに目を見開いたまま、そんな風に言われたのが心外なのかなんなのか、小首を傾げている。

そして我に返って時計を見た先生は、「あ、時間。じゃあまたな、サクラ」と言ってそこを去った。げほげほとせき込みながら。大丈夫かしら。




「おっすサクラちゃん」
「ああ、ナルト」



両腕を頭の後ろで組みながら歩み寄ってくるナルト。
休憩中?と問われる。そういうアンタは?と問うと、俺は綱手のばあちゃんに呼び出しくらってんの、と言って頭を掻いた。
そして、たった今ここを離れたカカシ先生を一瞥すると、再び私に向き直る。

「なにあれ、カカシ先生。風邪?」
「ううん。空気が乾燥してるからだって」
「ふうん」

乾燥って。ヤワだな、と言ったナルトは、それでも少し心配そうにその頼りない(いつもの)後ろ姿を見送っていた。
ちょっと心配よね、ホントにおじいさんみたい、と言うと、ナルトは腕を組んでううーん、と唸った。そして「あ」と顔を上げた。


「乾燥だろ?そういうときはストーブでお湯沸かすと楽になるってばよ」

俺ってば部屋でそうしてるし、とナルトが言った。はぁ。同じこと言ってるわ。



「カカシ先生も同じこと言ってたわよ。まったく、アンタたちいつも一緒にいるから、同じこと考えるのね」

大袈裟に肩を落としながら言うと、ナルトはきょとん、と私の顔を見てから、ふるふると首を振った。なんか、さっきも似たような表情を見た気がする。


「や、別に…いつも一緒にいるわけじゃ、ないってばよ」
「……あ、そう…」


はいはい。反応まで同じなのね。
問題はそこじゃなかったでしょ!


は、と壁掛け時計を見上げたナルトは「やべぇ、綱手のばあちゃんに叱られる!」と言って、小走りに去って行った。






なんなのよね、いったい。





「あ、しまった…」

気付いたら私も勤務に戻る時間。
まったく…責任とりなさいよ天然コンビ。


ふう、とため息をつき体を一度大きく伸ばすと、飲み終えたコーヒーのカップを屑籠に捨て、少し乾燥した喉の調子を整えるために一度咳払いをし、待機所を後にした。









(20100117)





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