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『逢いたい』


学校の教科準備室。
といっても、殆ど教頭兼古文教師の土方の私室と化していた。
千鶴は、そこで土方の帰りを待つ。

二人は、恋人同士だった。
教師とそこに通う生徒との”そういった”付き合いは世間的に見て、あまりよしとされない。
学校内でも勿論おおっぴらに出来るものではなく、普通の教師と生徒として振舞っていた。
二人が恋人同士として二人だけの時間を過ごせるのは、
ここ教科準備室とその帰り道、週末などの休日の土方の部屋くらいだった。

そのことに不満があるわけではない。
双方納得した上での今の付き合い方。
結ばれないより今の方がずっといい。

でも、と千鶴は思ってしまうのだ。
もっと逢える時間がほしいと、願ってしまう。

「こんなに逢いたいと思うの、おかしいかなぁ……。」

誰もいない部屋に、ぽつりと千鶴の呟きが広がる。

「おかしくねえよ。」

聞こえてきた声に、千鶴は飛び上がらんばかりに驚いた。
いつの間に戻ってきたのだろう、振り向けばドアに寄りかかる土方の姿。
聞かれていたのかと思うと、千鶴はいたたまれず顔を俯かせる。

「すいません、わかってはいるんですが…。」

コツコツと足音が近付いてくる。
土方の手が頬に当てられ、千鶴の意思とは反対に土方の方へと顔を上げられた。

「別にそれが悪いっていってるわけじゃねえんだ、そんな顔すんな。」

言葉通り、土方の表情は柔らかいものをしている。

「でも、わがまま、ですよね。」
「ったくおまえは人の話を聞きやがれ。」

手が離れ、今度は片腕で体を包まれる。

「おまえがそう思うことは当たり前だ。それだけ俺のことが好きってことだろ?」

微かに息を呑む気配がする。
そっと、土方のシャツを握って、肯定の意味を遠慮がちに示した。
千鶴の反応に気を良くしたのか、くつくつと小さく笑う声がした。

「俺だって同じだ。おまえに逢いたくて仕方ねえんだ。
今はまだ千鶴に寂しい思いさせるかもしれねえが、
俺の空き時間全部くれてやるから無理はすんなよ?」
「はい…!」

千鶴が嬉しそうに花のように笑顔を綻ばせた。



お題:選択課題・恋する台詞より「こんなにあいたいと思うの、おかしいかなぁ……」
お題サイト:「rewrite」様より



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